
商品開発におけるマーケティングとは?基本プロセスとAI活用で変わる進め方
2026.9.7公開
株式会社Laboro.AI 執行役員CBO(最高ブランディング責任者) 和田 崇
株式会社Laboro.AI編集部
概要
新しい商品をつくるとき、「良いアイデアがあれば売れる」というのは半分だけ正しい話です。実際に売れる商品にするには、市場や競合、顧客のニーズを踏まえて「誰に、何を、どう届けるか」を設計するマーケティングの視点が欠かせません。
この記事では、商品開発とマーケティングがどのように関わっているのか、現場で使われる分析フレームワークや基本プロセスを整理しながら、多くの企業が実務でつまずきやすいポイントと、その乗り越え方についてお伝えします。
後半では、私たちLaboro.AIが取り組んでいる最新手法「AIを使った市場分析」についてもご紹介します。
目 次
・商品開発とマーケティングの関係
・商品開発に役立つマーケティング分析フレームワーク
・マーケティングを軸にした商品開発の基本プロセス(6ステップ)
・現場で起きがちな壁:市場分析・コンセプト検証にかかる時間とコスト
・AIを活用した市場分析で、商品開発のスピードと精度を高める
・商品開発を成功させる組織・体制のポイント
・まとめ
商品開発とマーケティングの関係
商品開発とは?商品企画との違い
商品開発とは、市場調査やアイデア創出から、コンセプト設計、試作、テスト、販売までを含む一連の活動を指します。これに対して「商品企画」は、商品開発というプロセスの中でも、初期段階のアイデア創出やコンセプト立案を指すことが多い言葉です。両者は厳密に使い分けられていないケースも多く、企業や部門によって指す範囲が異なるのが実情です。
本記事では「商品開発」を、企画から市場投入・検証までを含む広い活動としてとらえ、その中で発揮されるマーケティングの役割を中心に解説します。
なぜ商品開発にマーケティングの視点が欠かせないのか
商品開発とマーケティングは、しばしば別の部門が担当する別々の業務として扱われます。しかし、商品開発の各段階でマーケティングの視点が抜け落ちると、「技術的には優れているが誰にも刺さらない商品」や、「開発チームの熱意と市場のニーズがずれている商品」が生まれやすくなります。
マーケティングの役割は、単に「できあがった商品を売る」ことだけではありません。企画の入り口となる市場機会の発見から、コンセプトの検証、価格・チャネル・訴求方法の設計まで、商品開発の全工程に関わる考え方だと捉えるのが実務的です。
商品開発に役立つマーケティング分析フレームワーク
商品開発の現場では、以下のようなフレームワークが段階に応じて使い分けられています。それぞれ単独で使うのではなく、商品開発のどのフェーズで、何を明らかにしたいかに応じて組み合わせて使うのが一般的です。
| フレームワーク | 主な目的 | 使われる段階の目安 |
|---|---|---|
| PEST分析 | 政治・経済・社会・技術という外部環境の変化を捉える | 市場機会の発見(初期) |
| 3C分析 | 自社・競合・顧客の関係性を整理する | 市場機会の発見〜戦略立案 |
| SWOT分析 | 自社の強み・弱みと、市場の機会・脅威を整理する | 戦略立案〜コンセプト開発 |
| STP | セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを設計する | ターゲティング〜コンセプト開発 |
| 4P(マーケティングミックス) | 製品・価格・流通・販促の具体的な施策を設計する | 施策決定〜市場投入 |
これらのフレームワークは、いずれも「思考を整理するための道具」であり、当てはめるだけで正解が出るわけではありません。実務では、フレームワークで洗い出した仮説を、実際の市場データや顧客の声でどう検証するかが、成否を分ける部分になります。
マーケティングを軸にした商品開発の基本プロセス(6ステップ)
多くの企業で採用されている商品開発プロセスは、大きく6つのステップに整理できます。
- 市場機会の発見:PEST・3C分析などを用いて、市場環境や競合の状況、自社の立ち位置から商品化の機会を探る
- ターゲティング・コンセプト設計:STPを用いてターゲット顧客を定め、「誰のどんな課題をどう解決する商品か」というコンセプトを言語化する
- マーケティング戦略・4Pの検討:価格帯、販売チャネル、訴求方法など、コンセプトを市場に届けるための具体的な方針を決める
- 試作・コンセプト検証:プロトタイプやモックアップを用意し、アンケートやインタビューなどでコンセプトが実際に受け入れられるかを検証する
- テストマーケティング:一部の地域やチャネルで先行販売し、実際の購買行動から需要や改善点を確認する
- 市場投入と検証・改善:本格的に販売を開始したあとも、売上データや顧客の反応をもとに商品や訴求方法を継続的に見直す
一直線に進むというより、検証の結果によって前の段階に戻ることも多く、各ステップを何度か往復しながら精度を上げていくプロセスだと理解しておくと実務に近いイメージが持てます。
現場で起きがちな壁:市場分析・コンセプト検証にかかる時間とコスト
ここからは、私たちが多くの企業のAI活用をご支援する中で見えてきた、商品開発の現場でよく耳にする悩みについてお話しします。
フレームワークやプロセスの型を理解していても、実際に運用しようとすると、多くの企業が同じ壁にぶつかります。それは、ステップ1〜4にあたる市場分析やコンセプト検証に、想像以上の時間とコストがかかるという点です。
たとえば、STPの仮説を検証するためにアンケート調査を外部に委託すると、設計から実査、レポーティングまで数週間かかることは珍しくありません。コンセプトの候補が複数あり、それぞれを比較検証したい場合には、その分だけ時間とコストが積み重なります。結果として、「本当は検証してから進めたいが、スケジュールの都合で仮説のまま次の工程に進んでしまう」という判断が、商品開発の現場では日常的に起きています。
これは特定の企業や担当者の努力不足ではなく、従来の市場調査・検証手法そのものが持つ構造的な制約だと私たちは考えています。
AIを活用した市場分析で、商品開発のスピードと精度を高める
この「検証にかかる時間とコストの壁」に対して、近年少しずつ使われ始めているのが、生成AIを活用した市場分析・簡易調査です。
私たちLaboro.AIでは、生成AIの推論能力を使って消費者の反応を疑似的に再現する市場調査サービス「未来リサーチ」を開発しています。
従来の委託調査では数週間かかっていた検証を数営業日規模まで短縮できるため、たとえば複数のコンセプト案を短期間で比較検証したり、企画の初期段階で「そもそも需要があるか」を素早く確認したりする使い方に向いています。実際の調査結果とAIによる推定結果を比較検証したところ、平均誤差は2%台にとどまるという結果も得られており、精度と速度を両立させる技術検証を重ねています。
もちろん、AIによる市場分析がすべての調査を置き換えるものではありません。私たちが重視しているのは、「AIで仮説を素早く絞り込み、重要な意思決定は精度を確認しながら人が行う」という役割分担です。検証のスピードが上がることで、フレームワークで洗い出した複数の仮説を実際に試しながら商品開発を進める、という本来あるべき進め方に近づけるのではないかと考えています。
AIを使った市場調査そのものの仕組みや注意点については、別の記事「市場調査にAIを使う【AI市場調査】とは?生成AIで変わる調査のスピード・精度・コスト」で詳しく解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。
商品開発を成功させる組織・体制のポイント
分析フレームワークやAIによる検証の仕組みを整えても、商品開発を成功させるには、企画・開発・販売など関係部門の連携が欠かせません。
よくある失敗パターンとして、企画部門が立てたコンセプトと、開発部門が実現できる技術的な範囲、販売部門が現場で得ている顧客の声との間にズレが生じ、途中で計画が頓挫してしまうケースが挙げられます。
これは商品開発に限らず、私たちが手がけるAI導入プロジェクトでも同様の構造の課題によく出会います。ビジネス側の理想と、実際に実現可能な範囲との間には、どうしてもギャップが生まれるものです。そのギャップを早い段階で言語化し、関係者間で共有しながら進めることが、途中の手戻りを減らす近道になるはずです。
まとめ
商品開発におけるマーケティングとは、商品ができあがった後の販促活動だけを指すものではなく、市場機会の発見からコンセプト設計、検証、市場投入まで、企画の入り口から関わる考え方です。PEST・3C・SWOT・STP・4Pといったフレームワークを使い分けながら、6つの基本プロセスを検証と改善を重ねて進めていくことが、商品開発の王道といえます。
その一方で、多くの企業が実務でつまずくのは、市場分析やコンセプト検証にかかる時間とコストです。ここに関しては、生成AIを活用した市場調査という新しい選択肢も出てきています。私たちLaboro.AIが提供する「未来リサーチ」も、その一つの取り組みです。
商品開発のスピードや検証の精度に課題を感じている方は、選択肢の一つとして触れてみていただければ幸いです。
未来リサーチへのお問い合わせ・資料請求

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執筆者
Laboro.AI編集部
株式会社Laboro.AIの独自技術や最新のAIに関する情報をお届けします。
監修
執行役員CBO(最高ブランディング責任者) 和田 崇
立教大学大学院経営学修士(マーケティング論・消費者行動論)。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科博士後期課程中退。KDDI株式会社に入社、コンシューマ向け商品・サービスのクロスメディアによるプロモーション施策の立案・企画運営に携わったのち、全国漁業協同組合連合会を経て、2019年にLaboro.AIに参画。マーケティング/ブランディング業務に従事する傍ら、NewsPicksプロピッカーとして活動するほか、日経クロストレンドなどメディア寄稿多数。